「比喩」という言葉は誰しもが聞いたことがあるでしょう。
しかし、「比喩」の種類や意味、効果について知っている人は少ないのではないでしょうか。
覚えておくと、文章を書く時、スピーチをするときなど、相手に何かを伝える際に大変便利です。
そこでこの記事では、「比喩」の意味や種類を例文を用いて解説していきます。
比喩の意味とは
比喩は、goo国語辞書では以下のように説明されています。
ある物事を、類似または関係する他の物事を借りて表現すること。たとえ。
https://dictionary.goo.ne.jp/word/比喩/
簡単に説明すると、何かに例えて表現をするということです。
みなさんも、文章を書く時や普段の会話の中で、知らず知らずのうちに比喩を使っているでしょう。
比喩の効果
比喩には3つの効果があります。
・分かりやすくなる。
・イメージしやすくできる。
・強調できる。
3つの効果を見たら分かる通り、「比喩」は、相手に何かを伝える際に非常に効果的です。
ですので、比喩を使いこなすことができると、文章力やコミュニケーション能力が大幅にアップすることができます。
比喩の種類とそれぞれを例文を用いて解説
「比喩」の種類は以下の7種類です。
・直喩(明喩)
・隠喩(暗喩)
・提喩
・諷喩(寓喩)
・換喩
・擬人法(活喩)
・擬態法(声喩)
以上の7種類を、1つづつ例文を用いて解説していきます。
直喩(明喩)
「直喩」は、「~のごとく」「~のように」「まるで~」など、文字通り直接何かに例える表現方法です。
例えであることを明示しているので「明喩」と呼ぶこともあります。
以下の例文をご覧ください。
・鬼のように怖いお母さん。
この文の場合、お母さんがいかに怖いのかを鬼を使って例えています。
「怖いお母さん」だけでは、どのくらい怖いのかイメージしにくいでしょう。
そこで例文のように「鬼のように」を加えることによって、お母さんがとても怖いということを表現することができます。
隠喩(暗喩)
「隠喩」とは、例えであることを明示せずに、何かに例える表現技法です。
つまり、直喩のように「~のようだ」等の語を使わずに例えるということです。
以下の例文をご覧ください。
・部活動は地獄だ。
この例文は「部活動が地獄のようにキツイ」ということを表現しています。
また「地獄だ」と言い切っているので、直喩より強い表現になります。
例えたものを相手が知らない場合や隠喩だと気づかない場合には、意味が通じないことや誤解を生んでしまう恐れがあるので注意が必要です。
例えであることを明示していないので「暗喩」とも呼ばれています。
提喩
「提喩」とは、「一つを挙げて属する全体を表現」またはその逆で「全体を挙げて属する一部を表現」といった表現方法です。
まずは、「一つを挙げて属する全体を表現」の場合の例文をご覧ください。
・空から白いものが降ってくる。
「白いもの」といっても、ソフトクリームや野球ボールなど様々なものが考えられますよね。
しかし「空から降ってくるもの」となっているので「雪」だということが伝わるでしょう。
この例文では「白いもの(全体)」を用いて「雪(一部)」を表現しています。
逆に「全体を挙げて属する一部を表現」の例文も見てみましょう。
・あそこのお店でお茶でもしよう。
例文では「お茶」と言っていますが、他の飲み物も注文するでしょう。
この例文では「お茶(一部)」を用いて「飲み物(全体)」を表現しています。
諷喩(寓喩)
「諷喩」とは、真意をそのまま表現せず、抽象的な表現や別の物事で表現し、裏にある真意を悟らせる表現方法です。
例えば、以下の文は「諷喩」と言えます。
・立つ鳥跡を濁さず。
「立つ鳥跡を濁さず」はことわざであり、「引き際は美しくあるべきだ」や「立ち去る者は見苦しくないようきれいに始末をしておくべき」という意味があります。
このように、伝えたいことをそのまま表現するのではなく、別の物事に仮託します。
また「寓喩」「アレゴリー」とも呼ばれています。
換喩
「換喩」とは、ある物事を表すときに、それと関係の深い物事で置き換えて表す表現方法です。
以下の例文をご覧ください。
・モーツァルトを聴く。
・太宰治を読む。
例文では、どちらも作品を作者の名前で表しています。
このように、「換喩」は関係の深い物事に置き換えて表現します。
擬人法(活喩)
「擬人法」とは、人間以外の物事を、人間であるかのように例える表現方法です。
以下の例文をご覧ください。
・ペンが走るように作文を書いた。
例文は、「スラスラと作文を書いた」という意味になります。
実際にペンは走ることはできませんが、人間が走るときのようにスピード感があるということを表現しています。
また「活喩」とも呼ばれています。
擬態法(声喩)
「擬態法」とは、擬音語(ワンワン、ざあざあ)などや、擬声語(ドキドキ、ヒヤヒヤ)などを用いて状態や動作を表す表現方法です。
「擬態法」を使った例文は以下の通りです。
・雨がざあざあ降っている。
・緊張で胸がドキドキしている。
・遅刻しそうでヒヤヒヤした。
上記のように、擬音語や擬態語を用いたものが「擬態法」です。
また「声喩」や「オノマトペ」とも呼ばれます。
まとめ
以上、「比喩」の意味や種類を、例文を用いて解説しました。
意味や種類を覚えるのではなく、実際に使えるようになりましょう。
この記事を読み、表現力や文章力が向上してくれると幸いです。
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